すみません。
今更ですが、R100RSの購入に関する「気にすべきこと」を、ブログ読者の べーやんさんのご希望もあり、若輩者ながら記事にしたいと思います。
とは言いつつ、私motoも、決してR100RSのベテランユーザーではなく、このバイクの事を何も知らず手に入れた初心者目線と、これまでこのバイクと付き合ってきた経験から語りますので、あしからず。。。
まず、BMW R100RSといっても、大きく分けて二種存在します。
細かいエンスー的なスペックは省きます。
初代R100RSはツインショック(リアサスペンションが二本)です。
このバイクに見る大きなカウルは、全世代共通のイメージです。

そして、motoが乗っているモノショック(リアがモノラルサスペンション/1本サスペンション)じゃあ、2本サスペンションは「ステレオサスペンション」でいいじゃないか!と思う事もしばしば・・・。
どちらが好みかは、ずばり見た目で判断で良いでしょう。
細かく言えば、規制前の初代(ツインショック)の方が、エンジンの馬力は上回ります。
つまり後期モデルのモノショックは、規制と乗りやすさを重視して、デチューン(パワーダウン)してあります。
その昔、ホンダのNSRという87年から製造されたレーサーレプリカがありましたが、ハチハチと呼ばれた二代目(88年式)が驚異的なピーキーなエンジン性能を持っており、極端に狭いハンドル幅、薄っぺらいシート、じゃじゃ馬と呼ばれたほどプライベートレースでも活躍する、まさにレーサーでした。
しかし、「万人には受けない」という理由から、89年式からエンジン性能がマイルドになり、90年式では女の子でも乗れるようなバイクになりました。
それでも、NSRの売れ行きは好調で、90年代の日本のバイクブームを背負う、代表的なバイクとして歴史に残っています。
87年式NSR

これが88年式NSRこれ、ミラーに映ると、ハチハチだ!と呼ばれた絶品。峠でもサーキットも最大勢力、最強マシンでした。クルマで言うところの「ハチロクだ!」と同じ。

89年式NSRエンジン性能を少しマイルドにし、ハンドル位置も少し上げてツーリング可能な大衆モデルに。確かこの年代から乾式クラッチを採用していた記憶が。

90年式NSR キューマル、とも呼ばれたNSRの最終完成形。NSR初のプロアーム(片持ちスイングアーム)*通常2本でリアタイやを支えますが、これは1本スイングアーム。レースでのタイヤ交換の優位性を意識(というか真似)した、ホンダの考える2ストローク・レーサーレプリカの最終形でした。これもまた、バカ売れしました。

つまり何が言いたいかというと。
乗りやすくなる、扱いやすくなる、直しやすくなる、というのは、退化ではなく、正常進化なのです。
勿論、初代R100RSの魅力は、例えば時計に例えれば、60年代のオメガスピードマスターには、現行モデルのスピードマスターには無い、精巧さ、職人の仕事が手に取るように見える趣を感じるように、人類の財産とも言える価値があります。
1969年 オメガスピードマスター

現行モデルのオメガスピードマスター

文字盤の凸凹(つまり造形)に違いがあるのがわかりますか?併せて、時刻表示に使っている蛍光素材(トリチウム)も違います。これは、トリチウムが有害物質であることを理由に、現代モデルでは蛍光ペイントに変わっています。
で、本題。
バイクも同じ、時代の変化、社会の変化によって、進化していくものです。
motoのR100RSは、後期型のモノショックです。
ここでは、モノショックのオーナーであるmoto目線で話します。
motoがこのR100RSを購入した時、正直申しまして、R100RSに関する知識はゼロでした。
しかも、買った車両は、正直いって「優良」ではありませんでした。
なんせ、巷の中古業界では80万以上で売られているこの車種を、motoは35万円で手に入れたのですから、そりゃそうです。
走り出したら、エンジンセッティングはバラバラで、ノーマルなのに超うるさい。
ブレーキかけると、激しいノッキング(ディスクが歪んでいた)
こりゃ、大変だ。。。と直感しました。
最初のメンテは、ひび割れたタイヤの交換。
次いでオイル交換。(ドロドロのヘドロが出てきました)
でも外装はすこぶる綺麗で、塗装にヒビも曇りも無く、シートも破れなく見た目は100点(笑)
しかし、もしかしたら、中はもうダメな状態かなーと不安がよぎりました。
そこから、ブログの通り、motoの必死のメンテが始まり、少ずつですがこのバイクの知識を身につけていきました。
エンジンまるごと交換したんじゃない?
フレームと外装以外、全部変えてない?
と思われるかもしれませんが、前述のとおりのポンコツでも、今は自信をもって絶好調といえる車体になりました。
それもこれも、少なくとも外観は美しい状態を保っているこの車体を、中身も なんとしても再生させたい!という想いからの出発でした。
つまり、この年代のアナログな車体は、いくらでも再生可能という事です。
車体選びの善し悪しは、勿論「機関」が重要ですが、何よりも手に入れた時から「愛せるか」です。
そんなロマンチックな持論を前提として、あえて、少しでも良い車体を手に入れるためのガイドラインを書きます。
ただし、この年代のバイクは修理、メンテは不可欠であり、そのスキル、この車体への理解を深める意味でも、購入後に必ず「手を入れる」事を弁えた上でのガイドラインです。
1.外装
綺麗なものを選びましょう。
例えエンジンはボロボロでも、外装が綺麗な車体は、少なくとも、愛されていた車体です。
加えて、外装一式はベストコンディションでは手に入りません。エンジン部品であれば、このバイクはエンジンブロック以外は全て今でも新品で手に入ります。
エンジン外装も、錆の少ないものを選ぶ(錆をとるのは、金も労力も使います)
2.フレーム・足回り
手っ取り早く、見るには「タイヤ」の状態をチェック。
サイドは許容として、接地エリアまで ひび割れていれば、長期間乗っていない車体。
つまりエンジン内部も多少なり腐っているので、メンテは重くなります。
とはいえ、そんな話をすると、じゃあエンジンが重要なんだ、と考える方も多いと思います。
が、motoはそう考えません。車体(骨)が有りき、です。
まず車体をスタンドから外して、跨がるより、エンジンをかけるより先に、前後に押してみる事。
この場合、サスペンションの運動性能は無視。(なぜなら、ほぼそれは劣化している事前提なので)
スペースが許される限り、教習所入所当時のように、右へ左へハンドルを切って押し歩き、意図する方向に、違和感なく進むかどうかを確認する事。
平地なのに、少しでも歪んだ動きをしたりすれば、フレームが事故により曲がっているか、フロントフォークのインナーチューブが歪んでいます。
インナーチューブは、メッキの擦れ具合に不自然に偏ったすり減りが無いかチェックです。(摩耗部分の黒ずみ具合)
ちなみに、インナーチューブは交換可能なので、それを覚悟すれば良いです。
ステアリングのガタつきが出る場合が多いですが。ヘッドのベアリング交換で解決する事が多いので、ショップに依頼するなり、自分でやるなり。それを交換前提とすれば良いかと。
フロントサスペンションは、インナーチューブ、スプリング、消耗品とも、現在も新品に交換可能なので、正常に機能していないと感じれば、対処可能です。
対してリアサスペンションは、純正は分解できないので、オーリンズなどのサードパーティ製に変えるか、状態の良い中古を探すことになります。
3.キャブレター
購入下見で、キャブの中を分解するまでは出来ないと思います。
ですが、購入したら、まずキャブレターはオーバーホールが前提です。
とはいえ、キャブレターの外観から状態を判断する上では、キャブの底と、パーツの接合(接点)、それと外側の黒い四角い部品の下にある地小さい穴を見る。
キャブの底=オイルが漏れていないか
キャブのサイドの穴=穴から漏れたようにボディが黒ずんでいないか
アルミ特有の、白錆が出ていないか(長期放置の場合、内部も白錆出ている可能性あり)
旧車を扱う上で、避けて通れない、そして一番手が付けやすいメンテナンスがキャブレーターです。
そのキャブが全くノーメンテな車両は、90%、車体全域でノーメンテだったものです。
注:それでも、キャブレータ部品全ても、今でもパーツは全て手に入りますので。
4.ミッション
これは、外観からは判断つきません。
少なくともミッションケースとエンジンブロックの接合からのオイル滲みがあるかどうか、程度で、中身が問題無いかどうかは、運に任せるしか無いです。
オイル交換して、はじめてメンテ状況が見えます。(勿論試乗してもわかりますが)
5.クラッチ
試乗しないとわかりませんが、大前提として、まずクラッチが切れるかどうか。
長期で放置されている車体は、クラッチ盤が張り付いて、レバーを握ってもクラッチが切れません。
つまり、1速に入れて、クラッチを切って、スムーズに前に進むかどうか、で判断。
クラッチ滑りが起きているかどうかは、走らせないとわかりません。
6.計器類
正常に動いてくれるのがベストですが、車体によっては多少の誤差がありますので、あまり気にしない方が良いです。
この手のバイクは、数値よりもフ、乗車フィーリングで健康診断するので。
7.エンジン
最も気になるところですが、これは「直せるもの」という意識も持って見るべきと思います。
初歩的ですが、購入時に見せてもらえるのであれば、プラグを左右抜いて見ます。
真っ黒ベトベトだったり、真っ白に粉を吹いているようであれば、エンジン内部は決して良い状態ではない。
真っ黒ならまだ再生可能。真っ白であれば焼き付いた可能性もあるので、全体オーバーホールを避けたいのであれば、その車体は選ぶべきでは無いです。
ほか、長期放置により、シリンダー内でピストンが固着している、シリンダー壁面が傷ついているか、点火時期が合っているか、気にし始めたら切りがありません。
その中で、少しでも良い状態の車体を見極める上では、例えば車検証を見て、いつまで動いていた車体なのか、をまず確認します。
それが全てではありませんが、動かず10数年放置されていたような車体は、内部も枯渇しており、例えオイルを新品に変えても、新たに入れたオイルはエンジン底のオイルパンに落ちるだけなので、オイルがエンジン全域に回りきっていない状態でいきなりエンジンをかけると、金属摩擦で一気に傷だらけになります。
放置期間が長いと予想できる車体は、まずシリンダーのオーバーホールをして、パーツごとにオイル塗布し、内部を慣らしてからエンジンをかける事が前提になります。
例えメンテ不足の汚いオイルであったとしても、直近まで乗っていれば油面は確保されています。
そういうエンジンなら、分解せずともオイル交換を繰り返すことで、内部は最低限 再生できるものです。
とはいえ、直近まで乗っていた車体であっても、例えばシリンダーとヘッドの隙間からオイルが執拗に滲んでいる、エンジンをかけると白煙や黒煙が出続ける場合は、ピストンリングの寿命、シリンダー内壁の摩耗などで、オイル上がり・オイル下がりを起こしている事もあります。
結論としては、メンテ・ホーバーホールを覚悟していれば、シリンダーなどの外観の状態で選れべば良く、オイル交換程度でそのまますぐ乗りたい事が前提であれあば、車検証の期限切れ期間を1年、2年以内で探すことがベストと考えます。
motoは後者で、外観で判断、ガスケット・消耗品交換とセッティングで再生しました。(その後、シリンダー径UPでオーバーホールしています)
7.電気系統
電気系統は、いずれ一新することになります。
プロショップ任せにせよ、セルフメンテにせよ、電機部品は消耗品です。
とりあえず乗りだしできれば良いですが、エンジンがかからない、ボコボコいう、明らかに不調、という際には、キャブセッティングと同時に、どちらにしても電気系統を見直す事になります。
今時の車体以上に、電気がコンディションに影響する車体です。
配線1本の劣化、基板のショート、色々です。
湿度の高い日本で乗られた車体は、少なくとも経年により、電気系統に大きな負担はかかっています。
全て今でも新品で手に入るので、現代の高性能な部品に交換可能なものです。
1.購入金額
これは、それぞれの予算によりますが、、、、
個人的にはモノショックであれば、80万以上は高すぎると思っています。
理由としては、
1.中古でもタマ数が多いので旧車的な価値はそれほど無い。
2.50万のポンコツ・オークションものを買ったとしても、数年前まで動いていたものであれば、30万もあれば十分健全な状態に再生できる。
3.手を入れた分、車体に対する知識が増え、自分で作業できるようになる(motoがそうでした)
以上が、R100RSの購入ガイドラインです。
結局、何を基準にすればいいんだよ!とお叱りを受けるかもしれませんが、、、
最初に述べたように、まずは「愛せる」車体と感じるかどうかです。
それは、ヒジョーに初心者的な目線かもしれませんが、見た目が最低限美しい状態か、ということです。
ボロボロの廃車からオーバーホールするのが趣味というほど分解好きなら別ですが、それは希だと思います。
一般的に見て、手に負えないくらい、外観が劣化していると、中身を元気にしてやろう、という気さえ失います。
ボロでも綺麗でも、こいつで走りたい、良いバイクですね、と言われたい、そういう「想い」が、メンテ・維持の最大のモチベーションになります。
そこに、ご自身のマインド・ベクトルを照らし合わせ、ベストな車体のチョイスをするべきかと思います。
完璧な車体でも、大金はたいても、愛がなければすぐに手放すことになるでしょうし。
超ポンコツでも、意欲が無ければ手放すでしょうし。
バイク選びは、奥様選びと同じですな!
以上!!
追伸・えー写真無くてすみません・・・・
久々に長文書きましたw
OHVメンテの登竜門「バルブクリアランス調整:完全解説」はこちら!
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